2012年09月18日
2012年ジュゴン食性調査(前半)

毎年恒例となった北限のジュゴン調査チーム・ザン主催のジュゴン食性調査を、9月12~17日の予定で始めましたが、台風16号の影響により後半の15~17日は延期になりました。
そこで今回は、前半の調査の様子を紹介します。

現在日本ではジュゴンの餌場が2ヵ所確認されていますが、私たちはそのうちの一ヵ所で毎年ジュゴンの食性調査を行なっています。
この調査の目的は、残されたジュゴンの重要な餌場を毎年モニタリングし、海域の保全に役立てることです。

ここで簡単に調査の流れを紹介します。
まず始めに、調査の準備としてジュゴンの餌である海草の同定や被度の見方、ジュゴンの食み跡の見分け方などを参加者に身につけてもらうために、調査講習を行ないます。

参加者は実際に海に入り、海草を少しづつ採取し、それぞれの特徴を観察します。
海草は葉の先端、葉鞘、地下茎などにそれぞれ特徴があり、それら複数の特徴を確認しながら同定を行ないます。

陸で海草の同定が出来るようになったら、次ぎに実際の調査と同様に海底に方形枠を置き、枠内の海草の種類と被度を見る練習を行ないます。
この作業は素潜りの潜水技術を必要とするため、特に水深1m程度の浅い海では難しいものです。

ちょうどジュゴンの食み跡を見つけたので、食み跡の上に方形枠を置き、ジュゴンがどのような底質の場所で、どのぐらいの被度の海草藻場を選び、どの種類の海草を食べているか調べてみました。

次に実際の調査にうつります。
調査のラインは、50m毎に設定したポイントに標識を立て、沖に向かって角度を測り、もう一本標識を立て、沖から見て2本の標識が重なるように泳ぎ、測線を引いて行きます。次に実際の調査にうつります。
調査のラインは、50m毎に設定したポイントに標識を立て、沖に向かって角度を測り、もう一本標識を立て、沖から見て2本の標識が重なるように泳ぎ、測線を引いて行きます。

ライン(測線)を引いたら、海草係は10m毎に方形枠を置き、枠内の底質、海草被度、出現種とともに、時刻、水深を記録。また、食み跡係は10m × 10mを泳ぎジュゴンの食み跡を数えます。



調査は50mの測線を延長し、海草の出現が無くなるまで続けます。
最後に水温を測りますが、今回の調査は水温が高い9月の半ばに行なったので、水温は写真の通り29.2°Cありました。

記録を全て終了したらラインを回収し、次の測線に移動します。

今回確認できた食み跡の数は、調査の2週間前に台風15号が通過した影響もあってか、少なめでしたが、あるラインでは、およそ350mの測線上に、食み跡41本、密集域4ヵ所を確認し、この海域を餌場とするジュゴンが健在であることを確認しました。


この海域はジュゴンが餌場として選ぶほど自然豊かな海域で、イノーには大きなユビエダハマサンゴも棲息しています。しかし、この貴重な自然海岸に現在高潮対策事業として海浜に護岸を造る計画が進んでいます。


今回の調査の後半は、台風16号の接近により延期しましたが、正にその台風の中心がこの地域を通過し、隣接する集落が高潮により床上浸水するなど、甚大な被害をもたらしました。

人命を第一に考えながら、同時に貴重な自然どう守って行くべきか、
大きな課題に直面しています。 (タロウ)

Posted by 北限のジュゴン調査チーム・ザン at 18:12│Comments(0)
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