2014年09月08日

守りたいジュゴンの海、守るべき私たちの未来

 去る8月23日、名護市内において「緊急国際シンポジウム」予定し市民に参加をよびかけたジュゴン調査グループです。今回は、海外から招聘していた研究者がお二人とも来沖が叶わず急遽シンポジウムを中止せざるおえませんでした。不慮の事態とはいえ心よりお詫びを申し上げす。
 お二人の研究者からは沖縄県民の皆様のご期待に応えられなかったことへのお詫びと、今後も「沖縄のジュゴンの保護」に向けて協力の意志の変わらないメッセージが届いています。

 当日は、22日に行った辺野古周辺海域一帯の調査の報告を日本自然保護協会と共に行いました。
辺野古・大浦湾の食み跡は7月14日に確認した8本が最後で、翌日の15日からは海上保安庁による食み跡エリアへの調査妨害により食み跡は確認できませんでした。また、チームが毎年継続していた嘉陽での食み跡調査では昨年のおよそ4倍の食み跡が確認されましたが、この食み跡の増加は、7月から始まった辺野古・大浦湾での桟橋設置、ボーリング調査作業、警戒船の航行による影響で、辺野古海域を追い出された個体が嘉陽海域に移動し、これまで嘉陽海域で採餌していたと思われる個体Aと共に、2頭で海草を食べた可能性も否定できません。
 
 嘉陽は今のところ健全な状態であると言えますが、今後の沖縄ジュゴンの個体群の維持を考えた時に複数のジュゴンを十分に養うだけの海草藻場の面積や、台風や護岸建設の影響による海草藻場の変動が起きた時を考えるとジュゴンの未来は明るいものではありません。
 
 現在、辺野古のジュゴンの餌場には海底掘削機材が我が物顔で居座っていますが、自然の力は逞しく、かつて名護市市民投票前にも辺野古海域でのボーリング調査は実施されています。しかし、人為的な圧力を減じ、豊かな環境が戻ってくればジュゴンは再びこの辺野古・大浦湾にその営みの姿を見せてくれました。

 今回、来沖できなかったエレン博士も米国ジュゴン訴訟の中で、「ジュゴンは海草藻場の想定外の変動や不連続性に適応するために、過去に良好な食餌場であった場所に移動する能力を身につけている」と証言されています。

 本来なら沖縄県民の財産を守るべき県知事や沖縄県行政の許可の元、11月にも辺野古崎の岩礁破砕が強行されようとしています。ジュゴンの海に取り返しのつかないダメージを与える前に、私たち県民はあらゆる方策を駆使して本体工事をやめさせねばなりません。

 冲縄タイムス論壇 2014年9月8日掲載



破砕が計画される辺野古崎の岩礁を見守る龍神の頭と伝えられるマナヌ岩(冲縄島東海岸を守る大きな龍の言い伝え)



Posted by 北限のジュゴン調査チーム・ザン at 13:10│Comments(0)
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