2010年08月24日

安田の事例

ここが一番頭の痛い場所である。

昔から良質な白砂が産出されることで有名な海浜でもあったが、漁港を整備
してから海浜が劣化し、次々とテトラポットの護岸を造成した歴史がある。
ちょっと前には継ぎ接ぎだらけのテトラポットの護岸の悪しき標本のような
光景が丘の上から一望、また渚に降りてみても、めちゃくちゃに築かれた
護岸が水平線を遮り、住民と磯を断絶していた。

余りのひどさに住民たちもテトラポットの撤去に動いた・・・砂防ダムと護岸
の自然再生事業・・・の結果、造られたのはこの人工リーフ。
しかも、県内の自然に配慮した環境保全型事業のモデルケースのようにマスコ
ミにも報道されてしまっている。「何でこうなるの!???」としか言い様が
ない。自然の作り出した類まれな天然のリーフを横目に、神になった人間は
浅はかな自己満足の造形に熱中するさまは、新たな自然の「創出」だと嘯き、
さながらバベルの塔の逸話そのもの。

サンゴの移殖事業が持てはやされ、まるで自分たちでサンゴ礁を創り出せるか
のような幻想を振りまき、自らの罪深さをわずかな金額で相殺できると安易に
思わせる「エコ」な仕掛けの数々と同じ類だ。

すでに地球にとっては過剰な存在である私たちのできることは、まずはその
自覚であり、もうこれ以上、この世界を傷つけないためには、慌てて何事かを
するのではなく、ひとまず、立ち止まり、世界を見回し、観察し、静かに対象
からの発信を受け止める心の準備をすることだ。簡単にあきらめず、自分たち
が傷つけたものが語り出すのをひたすら待ち、過剰な作用からいったい何を引
き算したら・・・いいのかを全身をかけて考えることだ。
その時、初めて世界は微笑み、風や光や大気が動き出し語りかけて来るだろう。
私たち人間たちが未来に向けて何をなすべきか・・・を。




Posted by 北限のジュゴン調査チーム・ザン at 23:35│Comments(0)
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