2010年07月09日
人工ビーチ

入り江には計算したはずの海流が滞り、アオサ(沖縄のアーサーとは違う
食べれない海藻)が海面を覆い尽し、腐敗し異臭を放ち、海中の生物を窒
息させている。市民が屋外に繰り出す季節になると、繁茂したアオサの駆
除をし、どこから仕入れてきたかわからないアサリの幼貝を砂浜に散布し
て「潮干狩り」を演出する。
バカガイ、シオフキ、ハマグリ、タイラガイ、トコブシ、シャコ、アナゴ、
ヤドカリ、ゴカイ、イイダコ、エビ、カニなど多種多様な在来生物の姿は
まれで、ただアサリが生息できるというまやかしの指標が虚しい。
海底で長い時間をかけて晒されたものではない山砂(たった5年間ねかした)
は灼熱の日射しを蓄え、木陰のない人工ビーチに集う市民の足を焼く。
加えて自然のサイクルから切り離されたビーチには常に砂を供給し続けなく
てはならない。
海辺の山や丘を切り崩し、造成された新興住宅地の美しいパンフレットには
外来種であるタイワンリスと人工ビーチ、八景島の写真が「豊かな自然と文
化」のアイテムとして多用され、「潮干狩りのできる海辺の住宅」は自らの故
郷を失った新住民の購買欲を掻き立てて止まない。
Posted by 北限のジュゴン調査チーム・ザン at 12:59│Comments(0)