2009年05月08日

ザン意見書:2−理由

2-理由            
● 調査
ウ)生活史及び生態
・行動範囲 
10km程度〈オーストラリア)〜140Km〈紅海)と記述されているが、タイでは5
00Kmの移動の例もある。ジュゴンの生態や生活にはまだまだ不明なことが多く、
生活史の地域差も大きい。アセス調査の中でたった一年間の記録だけの個体識別され
たジュゴンの生活パターンを持って沖縄の個体群の行動範囲を決め付けるのは拙速。
・聴力
低い周波数の音に対しては敏感ではないと言われていると記述されているが、ジュ
ゴンの群れが500mも1Kmも離れたボートに反応した記録がある。視覚の届く距離
ではないので、エンジンの振動音を感知したものと考えられる。
また、低周波に対して大きな懸念が研究者からも出されている。

エ)羅網・漂着・目撃情報
・保護・回収例 の記録を見てもいずれも羅網による事故がジュゴンの生存にとって
大きな脅威となっていることは明らか。事業実施海域周辺における漁網の設置状況を
考察すれば、希少なジュゴンがわずかでも「混穫」されるおそれがあるならば、その
ような事態をまねく要因は取り除くべきであり、適切な「環境保全措置」とは言えな
い。

○アセス調査によって確認された3個体の生活史に関する考察
今回の調査で確認されたジュゴンは合計3頭であり、日本のジュゴンの希少性が改め
て確認された。さらに、確認できた3頭の内の2頭ないし3頭が嘉陽海域及び大浦湾
を利用していたことが判明した。これらの 事実を客観的に見れば、嘉陽及び大浦湾
が日本産ジュゴンの保全上最も重要な海域と位置付けられたと判断するのが妥当であ
る。
また、嘉陽沖に常駐する1個体は他地域に移動することはほとんどないとしているが
その判断に科学的な根拠は薄弱。台風時のジュゴンの行動についても調査記録はな
く、
その他、性別やペアの判断においても、齟齬する情報もあり、極めて曖昧なまま、
都合のいいだけの記述でしかない。借りに3頭だとしても、その生息環境を脅かす
事業のもたらす結果と意味の重大さの認識が欠如している。





Posted by 北限のジュゴン調査チーム・ザン at 03:24│Comments(0)
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

QRコード
QRCODE
アクセスカウンタ
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 42人
プロフィール
北限のジュゴン調査チーム・ザン
オーナーへメッセージ