2018年 ジュゴン食性調査

北限のジュゴン調査チーム・ザン

2018年09月26日 17:41

調査前に実施した調査講習の様子

今年の夏も北限のジュゴン調査チーム・ザン主催のジュゴン食性調査を実施しました。
しかしながら、今年は沖縄島に台風が頻繁に接近し、計画を立てては流れ・・・を繰り返し、結局、設定した18本の測線のうち2本のみの実施となりました。

白く伸びるジュゴンの食み跡

調査できた測線は2本でしたが、
調査エリアの中で最も利用頻度の高いジュゴンの餌場を通る測線を選んだため、
成果はまずまずでした。

交差する複数のジュゴンの食み跡

ジュゴンは海底に生える海草を食べては息継ぎをし、再び摂餌を繰り返すため、
餌場では写真のように同じ場所に複数の食み跡が確認できます。


私たちの調査では、この食み跡の面積をはじめ、食べていた海草の種類とその被覆度、また低質や水深を記録し、蓄積したデータを海域の保全に活用しています。

(隣接する海岸で護岸工事が実施された際、事業者の沖縄県にデータを提示し、ジュゴンに影響を与えない護岸を一緒に考えました。)


これはジュゴンがリュウキュウスガモを食べた跡ですが、リュウキュウスガモは地下茎を深い位置に伸ばすため、地下茎や葉鞘付近の多くはジュゴンの採餌を免れ、数日経つと、このように先端が噛み取られた葉が再び伸び始めます。


今回は興味深い食み跡も確認しました。今回調査した範囲では、全体的に砂の堆積が確認されたのですが、この場所も海草藻場の上に砂が堆積し、海草の地上部の多くが砂に埋もれた状態だったようです。


ジュゴンはこの場所で砂に埋もれていた海草を掘り起こして食べたため、ジュゴンが顎を動かした範囲の砂が払われ、中央部分の海草はジュゴンに食べられ海底が凹み、両側の海草は砂が払われ地上部が立ち上がった状況になったと推測できました。

このようにジュゴンの食み跡を観察することで、この場所でジュゴンがどのように採餌していたのか推測でき、ジュゴンの存在をリアルに感じることができます。


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