ジュゴンへの悪影響

北限のジュゴン調査チーム・ザン

2013年12月22日 14:16


今朝22日の地元沖縄紙のトップには「北限のジュゴン」青い海原を悠々と
泳ぐ2011年9月の防衛局の報告書の姿と共に以下の記事が掲載されてい
ます。

私たちも調査で幾度もジュゴンの海を船で行き来していますが、よくこの海
を熟知している船長さんが大変注意深く運航していても、ある早朝に「いつ
もサンゴの岩礁がないところに白いサンゴ礁があって・・・危ない!とよけ
たら、その直後に海中で白い大きな物体が動いて、他のメンバーがすぐに飛
び込んだが、すでにそこには何もいなかった、あれはジュゴンだったと思う
。」という出来事や、写真のように昼間の穏やかな日中に爆音と共に米軍の
巨大な水陸両用強襲艦が往復する光景を目にすることもあります。

今でさえ日常的なこのような訓練が餌場からジュゴンを遠ざけていますが、
それでも若い個体が餌場を求めて姿を現していると考えられます。
もし、この豊かな餌場に工事が開始され、巨大な基地が現れ、更なる演習が
開始される事態になるなら・・・次世代のジュゴンは餌場を失い、極めて少
数であると予想される「沖縄の個体群」の維持は大変困難になり「北限のジ
ュゴン」の絶滅は必然となってしまうでしょう。

私たち環境保護グループは、これらの危険性について、幾度も防衛局へ意見
書を送付していますが、国は「不都合な真実」にふたをしてきました。
それが今回の共同通信による情報公開によって、また「ジュゴンの真実」が
明らかにされたのです。
メデイアの力と使命を実感するものです。

~~~~~~~~~~以下、共同通信記事(要約)
◎船がジュゴンに悪影響  アセスに観察記録示さず  普天間移設予定地 
米軍普天間飛行場の移設予定地周辺で、絶滅の恐れが極めて高いジュゴンが1キロ近
く離れた船に気付いて逃れようとするなど、船による悪影響を示す観察結果が数多く
あることが21日、共同通信が入手した防衛省沖縄防衛局の記録で分かった。
 沖縄県知事が予定地の埋め立ての可否を近く決めるが、重要な判断材料となる防衛
局の環境影響評価書には船の影響について十分な記載がなかった。
 工事では巨大な作業船などが多数稼働するため、環境保護団体は「都合の悪いデー
タを隠したのではないか。船の影響で生息域が変わる恐れがあり、埋め立ては認める
べきでない」としている。
 防衛局が移設予定地の同県名護市辺野古周辺海域などで行った上空からの観察記録
を情報公開請求し、入手した。
 2007年8月28日には、遊泳中のジュゴンが進路を変更し「直後に漁船が接
近。進路を自ら変えたようにも見えた」と記述。10年5月26日には「船舶から逃
れるように南方向へ泳ぐ」と記されている。いずれも船は800メートル以上離れて
いた。
 ほかにも「深い潜水で船舶の通過を待っているように見える」「潜水と浮上を繰り
返す。船舶のエンジン音を警戒している様子」といった記述が多数ある。船との衝突
が危ぶまれた例もあった。
 だが評価書では「漁船が近づき、回避した」など大まかな記述が一部にあるだけ
で、詳細な観察結果や分析はない。
 評価書によると、工事では全長数十メートルの大型作業船だけで最大13隻が同時
に稼働し、小さな船も多く集まる。船の航路を限定し、海や上空からジュゴンを監視
しながら作業することで影響を抑えるとしている。
 しかし上空からの観察記録では、監視は天候に左右される上、ジュゴンが潜水した
後に見失う例も多かった。海上保安庁の船がジュゴンに気付かずに真上を通る“ニア
ミス”もあり、監視は難しいことが分かる。
 共同通信は観察記録について防衛局に質問したが、21日までに回答はなかった。