海底の花園からの声

北限のジュゴン調査チーム・ザン

2011年02月20日 09:10


2月18日はグソー(後世)のお正月(旧暦の1月16日)。
祖先の供養と、未来への祈りの日です。
名護に生まれ、名護に招かれた市民たちはこの小さな海で出会い、
サンゴ礁の花園で名護湾のたくさんの命と出会いました。
ジュゴンの好む海草もこの花園で見つけました。
秘密の花園はベールを脱ぎ、名護を愛する市民をやさしく受け入れてくれ
ました。その花園を暴力的に埋めて、沈黙の海にしようと言う計画を知り
、私たちはどんな理屈もなく「守りたい」と思い、守るためにできること
をしようと手をつなぎました。
この工事を進める北部土木事務所の所長は私の顔を見て言いました。
「ここにはジュゴンはいません。だから工事を始めたのです。」
悲しい言葉です。ジュゴンが生きるためにはジュゴンのような無防備な平
和な生きものが生きられる環境が必要なのです。ジュゴンという希少種だ
けが価値があるのではありません。むしろ、かつては沖縄の沿岸のどこに
でもいたジュゴンが人間の手で希少種にされてしまった現実を考えて欲し
いのです。この小さな海にジュゴンの好む海草が存在するという事実は、
かつてここにジュゴンがいて、今は一時的に姿を見せないが将来的にまた
平和になったこの海に戻ってくる可能性があるということです。
復帰後の乱開発でズタズタにされ、瀕死の名護湾は、この小さな海を覗い
ただけでも、自らの力で再生しようとしています。そんな大きな自然の力
に人間は抗うことよりも、その力に寄り添い、委ねつつ生きて行く知恵が
必要ではないでしょうか?
稲嶺市政が誕生して一周年の17日、1500人を越える祝賀の市民が集い
した。海底の花園のグソーからの声が聴こえてきます。
名護湾のたくさんの祖霊たちの嘆きと祈りの声が・・・海のヒンプンガジ
ュマルを殺してはならない。