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2019年05月09日

3・5声明


                                2019年3月5日

沖縄のジュゴン個体群の存続の危機を訴える緊急声明

                        公益財団法人 日本自然保護協会
                           理事長 亀山 章
                         北限のジュゴン調査チーム・ザン 
                               代表 鈴木雅子
                         ジュゴンネットワーク沖縄
   事務局長 細川太郎

 私たちは沖縄のジュゴン保護に携わってきた市民グループとして、この度の辺野古新基地建設工事着手後に不明となったジュゴンの状況や、他の個体が直面する生存の危機に鑑み、絶滅が危惧される沖縄のジュゴン個体群の存続の危機を訴える。

 名護市東海岸に位置する嘉陽地先は、ジュゴンが棲む海として地元ではよく知られ、集落の歴史が記された字誌にもその名前が登場する。この嘉陽海域では、1990年に生後間もないジュゴンが刺網に混獲され、また、1998年には親子3頭のジュゴンが確認されたことなどから(琉球新報)、同海域はジュゴンの出産海域として推測される。また、1999年には求愛行動が確認されるなど(沖縄テレビ)、絶滅が危惧される日本産ジュゴンの重要な繁殖海域としても位置付けられる。
 私たち市民グループは1998年からこの嘉陽地先においてジュゴンの食み跡調査を開始し、2007年からは毎年ジュゴンの食性調査を実施してきたが(北限のジュゴン調査チーム・ザン)、この20年間に同海域においてジュゴンの食み跡が観察できなかったことはなかった。1998年以降にジュゴンが確認されていた他の海域では、その後ことごとくジュゴンが確認できなくなったが、嘉陽地先では周年ジュゴンが確認され、また、官民のいずれの調査においても継続的にジュゴンによる餌場の利用が確認されてきた。私たちはこの海域が日本産ジュゴンの重要な生息地であることから、嘉陽という地名の公表も伏せてきた。

個体Aの状況:
 ところが、昨年11月11日に同海域において食み跡を探索したが確認することができず、その後沖縄防衛局は11月28日に実施した環境監視等委員会において、10月以降の調査でジュゴンの個体Aが確認できなくなったことを報告した(2018年12月3日琉球新報)。私たちはその後も12月20日、22日、23日、2019年1月13日、20日と同海域においてジュゴンの食み跡を探索したが、11月以降にできたと考えられる新しい食み跡は確認することができなかった。
 その後沖縄防衛局は環境監視等委員会(第18回)を平成31年1月22日に実施し、資料4「工事の実施状況」を同局のホームページに公表した。
 その資料によると、沖縄防衛局が環境アセスメントで実施した航空調査によって、平成19年(2007)8月から名護市東海岸で確認されていた個体Aは、その後の調査によって平成30年(2018)9月までの11年間に継続して確認されていたが、同年10月以降の調査からその姿は確認できなくなった。また、個体Aが餌場として利用していたと推測される嘉陽地先の海草藻場では、同年10月16〜17日に同局が実施した調査によって25本の食み跡が確認されたが、以後の調査から新しい食み跡は確認されなくなり、同局は個体Aが嘉陽周辺海域の海草藻場を利用しなくなったと推測した。
 沖縄防衛局はこの資料の中で個体Aが嘉陽地先から姿を消した要因として新基地建設工事による影響について考察し、捨石投入など最も大きな騒音や振動が発生した平成29年11月から平成30年8月の期間においても個体Aが嘉陽地先で確認され、一方、個体Aが確認されなくなった頃の騒音や振動は、そのピーク時以下のレベルであったとし、建設工事による影響を否定した。

 しかし、平成30年11月28日に実施された環境監視等委員会(第17回)の資料2「平成29年度事後調査報告書について」の「ジュゴン確認位置(事業実施区域周辺)」(86p、87p)を見ると、個体Aは同局が調査を開始した平成19年度(2007)から平成26年度(2014)までは大浦湾の湾口にしばしば姿を見せていたが、平成27年度(2015)以降大浦湾の湾口に姿を見せる頻度が減るとともに、確認される場所が辺野古崎から離れるように徐々に東南へ拡大し、平成29年度(2017)にはかつて記録の無い東南海域まで達するようになった。湾口に姿を見せなくなった平成27年度は、沖縄防衛局が大浦湾に多数の警戒船を航行させ、トンブロックを投入し、立ち入り制限を示すブイを設置し、ボーリング調査を実施し、護岸工事に着手した時期と重なり、それまで大浦湾で確認されていた個体Cが確認できなくなった時期でもある。また確認場所が辺野古崎から離れ、かつて記録の無い東南海域まで拡大した平成29年度は、本格的な護岸工事が開始され、沖縄防衛局が捨石投入など最も大きな騒音や振動が発生したとする時期と重なる。これらの状況を客観的に判断するならば、個体A及び個体Cは新基地建設工事の影響を徐々に受け、行動範囲を変えていたが、個体Cは平成27年6月から避難し、個体Aも平成30年10月から工事区域周辺から避難するに至ったと考えるのが合理的である。

 沖縄防衛局は環境アセスメント準備書の中で、個体Aは「環境省による平成15年11月以降の調査においても同海域にて確認されており、嘉陽沖を中心とした安部崎からバン崎にかけての沖合5kmの限られた範囲内に定着している」と定着性を強調していたが、沖縄防衛局は自らが行なった新基地建設工事によって、個体Aを唯一の安住の地であった嘉陽海域から追い出す結果となった。

 一方、環境省はジュゴンの保護対策を検討する目的で、平成13年度(2001)から平成17年度(2005)にかけて、ジュゴンと藻場の広域的調査を実施し、平成15年(2003)11月に尾ビレに切れ込みのある個体(環境アセスメント調査以降に沖縄防衛局が個体Aとする個体)を初めて個体識別し、平成17年度までの調査期間中に同じ個体を計7回確認した。なお個体Aは個体識別された平成15年11月には既に成獣だったことや、私たちが調査を開始した平成10年(1998年)には既に嘉陽地先では食み跡が確認されていたことから、定着性が強い個体Aが嘉陽地先を拠点に生息していたのは、少なくとも20年前の平成10年(1998年)以前からと推測される。

 環境省はジュゴンと藻場の広域的調査の一環で、嘉陽地先においてラジコンヘリによる空撮調査、陸上からの24時間行動観察調査、マンタ法+マーキングによる継続的なモニタリングなどを実施し、ジュゴン生息地としての嘉陽海域の重要性を明らかにした。また、同省は平成16年(2004)第159回国会において、調査の結果、ジュゴンは沖縄本島の周辺海域での確認頭数が極めて少なかったことから、種の保存法の国内希少野生動植物種選定要件に該当すると認め、平成23年(2011)には地元の名護市議会もジュゴンを国内希少野生動植物種に選定するよう環境大臣及び法務大臣に意見書を提出したが、同省は国内希少野生動植物種への指定を行わず、開発行為からジュゴン及び生息地を守る手立てを行わないまま現在に至った。今回定着性の強い個体Aが生息地を追い出されるという事態を招いたが、日本産ジュゴンの存続の危機や生息地としての嘉陽海域の重要性を認識していた環境省は責任を逃れることはできない。

 定着性の強いジュゴンが生息地を追い出された場合、他のジュゴンとの餌場の競合や、不慣れな海域での混獲死亡事故のリスクが懸念され、それでなくとも絶滅が危惧される日本産ジュゴン個体群の絶滅リスクがさらに高まったと推測される。

個体Cの状況:
 環境省は2001〜2005年にかけてジュゴンと藻場の広域的調査を実施し、このうち2003年7月に行った調査によって最小発見個体数を5頭とした(環境省2004)。なおこの5頭は全て成獣と思われたこと、また1998年から2002年までに計6頭の死亡が確認されており、これらのジュゴンが生存していたと考えられる1998年11月時点での最小個体数は11頭となる。しかし、実効性のある保護対策が取られないままジュゴン保護は放置され、2008年に実施された辺野古新基地建設に伴う環境アセスメントの調査で確認できた個体数はわずかに3頭だった(沖縄防衛局2009)。この3頭は個体A、B、Cと識別され、個体Aは前述の通り辺野古新基地建設工事着手後に不明となった。また、個体B、Cは母子と考えられ古宇利島沖を拠点に東海岸まで移動していた。その後個体Cは2009年頃から単独で行動するようになり、親離れしたと考えられ(沖縄防衛局2011)、大浦湾にしばしば姿を見せた。同じ時期(2009〜2015年)大浦湾では沖縄防衛局の調査で49本、私たち市民グループの調査で238本(累計)の食み跡が確認された(細川2018)。これら大浦湾で確認された食み跡について沖縄防衛局は評価書(6-16-172)(沖縄防衛局2012)の中で「個体Cによるものと考えられます」と個体Cが大浦湾を餌場として利用していたことを認めたにもかかわらず、個体Cの重要な餌場の存在を無視するように護岸工事に着手し、その結果前述の通り、2015年以降個体Cもまた消息不明となった。

個体Bの状況:
個体Bが確認される古宇利島周辺海域では、現在沖縄戦当時のものと思われる不発弾の存在が確認されており、私たち市民グループはジュゴンやサンゴ礁生態系にダメージを与えない処理を行うよう沖縄県に求めているが、未だ処理方法が確定していない。仮に従来通りの不発弾の海中爆破処理が実施された場合、日本産ジュゴン個体群の存続にかかわる重大なダメージを与えることが懸念される。

 以上の理由から、私たちは次のことを要望する。

1. 本環境アセスメントの環境保全図書では「工事の実施後は、ジュゴンの生息範囲に変化が見られないか監視し、変化が見られた場合は工事との関連性を検討し、工事による影響と判断された場合は速やかに施工方法の見直し等を行なうなどの対策を講じます」と記載されている。沖縄防衛局は個体A及び個体Cが確認されなくなった要因について工事の影響はないとしているが、上記の通り工事の影響は明らかであることから、沖縄防衛局は速やかに工事を中止すること。また、環境省は沖縄防衛局に対して速やかに工事を中止するよう指導すること。

2. 沖縄防衛局は、本工事によるジュゴンへの影響やジュゴンの調査について、工事や調査に携わる業者から過去に寄付を受けていた委員らで構成される環境監視等委員会ではなく、第三者の専門家による検証を行い、透明性を確保し検証結果を公表すること。なお専門家については、例えば、粕谷俊雄氏、エレン・ハインズ氏、アマンダ・ホジソン氏、ヘレン・マーシュ氏、Marine Mammal Commission (https://www.mmc.gov/)などを推薦する。

3. 環境省及び沖縄防衛局は、個体A及び個体Cが辺野古新基地建設工事着手後に不明となったことから、これらのジュゴンの消息について調べるための沖縄島及び周辺離島を含む広域調査を緊急に実施すること。

4. 環境省は、速やかにジュゴンを国内希少野生動植物種に選定すること。

5. 沖縄県は、以前から指摘されていた海中不発弾の処理に関する検討会について、処理に関わる関係機関及び海生哺乳類やサンゴ礁保全などの研究者、また、漁業者や観光業者、そして私たち市民グループを交えた形で実施すること。



※ なお防衛省、沖縄防衛局、環境省及び沖縄県には後日別途要望書を提出する。

  

Posted by 北限のジュゴン調査チーム・ザン at 00:10Comments(1)

2018年10月22日

今帰仁村ウッパマビーチ観察会-3




●参加者の主な感想
昔からの今帰仁の海をよく知る住民たちも、冷たい海の中に入り、豊かな海草藻場の
様子に驚き、魅了されたという。民宿を営む住民も、今までとは違った角度から故郷の海の
魅力を発見することが出来、もっと知りたいし、伝えたいとおおいに喜ばれ、地元の子どもた
ちへのレクチャーが大切であり、今後連携したいの嬉しい言葉を頂いた。
片岡さんからは観察会だけでなく、ビーチパーティーや探索などで今後もおおいに足元の海辺
で楽しみ企画を進めたいとの心強い発言。
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Posted by 北限のジュゴン調査チーム・ザン at 00:35Comments(0)

2018年10月22日

今帰仁村ウッパマビーチ観察会-2





●活動
午前10時~
事前リサーチした松野の案内でホテル前より長浜よりの自然海岸で観察会を行うことにする。
海の案内はチームの松野と森。ビデオ撮影は北川さんが担当。陸上撮影は磯さんが担当と
大まかな役割分担をして、森から海に入る際の簡単な注意をした後にかなり冷たい海だったが
半数のメンバーが海に入る。垣花さんは昔からのこの海を熟知されていて、箱メガネを持って
周囲の環境を探索。辺安山さんの結丸くんは水温が低いので海岸探索と双眼鏡で不発弾のポイ
ント観察。
海中での海草採取はリュウキュウスガモが主構成であったためにかなり難儀して片岡さんが
スコップで掘り起こした。(2008年の名和さんが調べた自然海岸「村民の浜」300mとある
が沖縄防衛局による最新資料では「ウッパマビーチ」の海草組成はリュウキュウスガモ、
ウミヒルモが優占と記録)もう少しホテル側の砂浜にはウミヒルモがあるようだ。

その他、ボウバアマモ、ウミジグサなどが確認された。底質は砂とサンゴ礫が入り交じって
居て、かなりリュウキュウスガモが深く根を張っているので、ジュゴンには食べ難いのでは
ないかと思われる。確かに以前の食み跡調査でも古宇利島や屋我地島の海草藻場に食み跡が
確認されている。柔らかで食べ易い藻場をジュゴンは餌場として利用しているように感じら
れる。ウミヒルモ以外の海草を採取して、砂浜で観察、ジュゴンの基礎的なレクチャー。
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Posted by 北限のジュゴン調査チーム・ザン at 00:32Comments(0)

2018年10月22日

今帰仁村ウッパマビーチ観察会-1





10月20日(土)午前9時半~

●趣旨
西海岸のジュゴンの棲む海の観察会が住民とジュゴン調査チームの協力で初めて開催された。
この海域が沖縄のジュゴンの生息・繁殖地域であることは専門家の間では周知されているが、
中々一般住民には知らされていない。

今回の観察会は戦後の悪しき置き土産である不発弾がこの海域でH28年夏にダイバー
によって発見され、今年の2月に「海中爆破処理」予定であったが、2016年に国の天
然記念物「ジュゴン」の親子の遊泳情報もあり、不発弾の爆破処理は希少なジュゴン
にとって極めて危険だとしてジュゴン調査チームより爆破処理の中止要請がされていた。

そこで地元村民が中心となり、「ジュゴンの生きる海」の学習会およびビーチの環境
を知ることから今帰仁村の自然の価値の再認識をし「ジュゴンの故郷」アピール
し、今後今帰仁村の観光産業にもつなげるためにも、住民自身が自然体験することを
が一番であると今回の観察会を企画した。
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Posted by 北限のジュゴン調査チーム・ザン at 00:28Comments(0)

2018年09月26日

2018年 ジュゴン食性調査

調査前に実施した調査講習の様子

今年の夏も北限のジュゴン調査チーム・ザン主催のジュゴン食性調査を実施しました。
しかしながら、今年は沖縄島に台風が頻繁に接近し、計画を立てては流れ・・・を繰り返し、結局、設定した18本の測線のうち2本のみの実施となりました。

白く伸びるジュゴンの食み跡

調査できた測線は2本でしたが、
調査エリアの中で最も利用頻度の高いジュゴンの餌場を通る測線を選んだため、
成果はまずまずでした。

交差する複数のジュゴンの食み跡

ジュゴンは海底に生える海草を食べては息継ぎをし、再び摂餌を繰り返すため、
餌場では写真のように同じ場所に複数の食み跡が確認できます。


私たちの調査では、この食み跡の面積をはじめ、食べていた海草の種類とその被覆度、また低質や水深を記録し、蓄積したデータを海域の保全に活用しています。

(隣接する海岸で護岸工事が実施された際、事業者の沖縄県にデータを提示し、ジュゴンに影響を与えない護岸を一緒に考えました。)


これはジュゴンがリュウキュウスガモを食べた跡ですが、リュウキュウスガモは地下茎を深い位置に伸ばすため、地下茎や葉鞘付近の多くはジュゴンの採餌を免れ、数日経つと、このように先端が噛み取られた葉が再び伸び始めます。


今回は興味深い食み跡も確認しました。今回調査した範囲では、全体的に砂の堆積が確認されたのですが、この場所も海草藻場の上に砂が堆積し、海草の地上部の多くが砂に埋もれた状態だったようです。


ジュゴンはこの場所で砂に埋もれていた海草を掘り起こして食べたため、ジュゴンが顎を動かした範囲の砂が払われ、中央部分の海草はジュゴンに食べられ海底が凹み、両側の海草は砂が払われ地上部が立ち上がった状況になったと推測できました。

このようにジュゴンの食み跡を観察することで、この場所でジュゴンがどのように採餌していたのか推測でき、ジュゴンの存在をリアルに感じることができます。

  

Posted by 北限のジュゴン調査チーム・ザン at 17:41Comments(0)食み跡調査

2017年07月24日

2017年 ジュゴン食性調査


今年も北限のジュゴン調査チーム・ザン主催のジュゴン食性調査を行ないました。
まず調査を始める前に初心者のための講習会を実施。


ジュゴンの食べ物である海草の同定方法を学習しました。
海草は全部で7種類。しっかり頭に入ったかな?


陸上で同定が出来るようになったところで、実際に海の中でトレーニング・・・っと思ったのですが、


海底には赤土が!


先月6月の降雨量は平年の2倍を越え、海草藻場は赤土の流入で酷い状態になっていました。


当日は大潮だったため、その後時間と共に潮が引き、歩いてジュゴンの食み跡を観察しました。


さて調査の本番。
まずはベテランさんからアドバイスを受けながら、データを記録しました。


今年は海水温が低く、調査を始めた7月初旬は水温が24℃を下回る日も有りました。


海草を見ながら海底を調べていると、ティラジャー(マガキガイ)がとても多いことに気が付きました。


こちらは毎年糸満から助っ人として来てくれる60代後半の海人さんですが、
測線を引かせたらピカイチで、毎年非常に助かっております。(深謝)


今年は梅雨の後半雨が多かったと書きましたが、赤土の流入以外にも写真のような影響もありました。これは海草に付着した珪藻です。大雨で真水の流入が多く、また梅雨明け後も真水は湧水となってしみ出し、結果このように陸に近い場所では、藻場は珪藻で覆い尽くされ、被度判定の大きな障害となりました。


これはジュゴンが好むと言われているウミヒルモのなかまのオオウミヒルモ。
葉の長さがなんと35mmもありました。
そしてその近くには、


10mをゆうに超える立派な食み跡が!





今年は同じ調査方法を採用した過去5年間で、食み跡面積が2番目に多い結果となりました。


赤土の堆積の問題もありますが、とりあえずジュゴンが元気そうで、ほっとしました。



  

Posted by 北限のジュゴン調査チーム・ザン at 22:24Comments(0)

2017年02月11日

オスプレイ墜落後の環境汚染の再調査を求める要望


沖縄県知事 翁長雄志 殿

沖縄県環境対策課

                        2017年 2月10日

              北限のジュゴン調査チーム・ザン 



 去る2016年12月13日に名護市安部沿岸に墜落した米軍輸送機オスプレイは大破し、その機体の破片は広範囲に渡って散乱しました。
その後の経過は主に以下のようです。

12月13日 墜落

  15日 東京のテレビ朝日は15日夜の「報道ステーション」で名護市の辺野古沖の海に墜落した米海兵隊のオスプレイの水中写真を公開した。

    沖縄市の写真家、牧志治氏が14日朝に潜水して、およそ30分間にわたり詳細に記録した写真で共同通信社が国内外に配信した。

  22日 米軍回収作業10日間に渡る「終了」通知

  25日 地元ボランティアによる第1回清掃活動

   27日 オスプレイの機体の破片、文書、ヘルメットなどが見つかった。

    @ヘルメットには「T・LEWIS」という名前があった。

     墜落現場から南18キロの宜野座村城原の海岸で発見。

     漂流物は安部から城原の海岸まで通常1週間で着くという。

     米軍も再回収の意向

  30日 米軍にトラック1台分もの回収を行い清掃終了との事。

  31日 はるか宮城島沖にてオスプレイの翼と思われる物体も回収。

2017年~~~~

1月 14日(土)地元ボランティアによる第2回清掃活動

     @ガソリン臭(潤滑油の可能性)

  15日(日)同ボランティア清掃

  18日 沖縄防衛局初めての回収作業

    (朝8時半~小型船4艘、ダイバーおよそ10名)

  20日 沖縄県「環境汚染なし」発表(主に油類と放射能の正常値か?)

  25日 米軍ダイバー20名以上によるエアーボンベで深場の回収作業

     米軍は安部区長の要請がある限り清掃活動を続けると区長に伝達

@2月11日(土)地元ボランティアによる第3回清掃活動の予定です。



 さて、去る1月20日に沖縄県は「放射能、大気の汚染はない」と発表されましたが、私たちは沖縄に生息する希少な海生哺乳類である
ジュゴンの生息環境の極めて深刻な汚染を心配しております。 

その理由としては主に以下の2点が考えられます。

1)大破事故機体の素材の破片の危険性

  ケプラ、カーボン、グラスファイバーの3種(荒木氏報告)

2)油の流出はなかったとするとオスプレイの油類(燃料油、エンジン潤滑油、チルト作動油など数種類ドラム缶32本分)はどこに行ったのか?

 第2回の地元住民による回収作業で「ガソリン臭」があったと記憶されています。
 オイルはどこに行ったのか?一帯の海草藻場のオイル汚染の可能性はないのか?



私たちがこれらの素材を調べたところ

・ケプラ
調べてみるとパラフェニレンジアミンとテレフタル酸クロリドの重合で鋼鉄の5倍の強度、強化プラスチックの補強、船体、飛行機、自転車、ヨットの帆などに使われるが、
アルカリ条件下、または塩素、紫外線で分解されるとあります。
また、テレフタル酸クロリドはポリエステルなどの耐熱ポリマーの原料で、紫外線吸収剤などとして使用されますが、皮膚、眼など特定標的臓器毒性があると、あります。
確かフタル酸エステル類は、環境ホルモンだったとも思います。
いずれにしても紫外線によって微粒子化、様々な添加剤が海中に出て行くことは十分に考えられますし、飲み込むこともあるかもしれません。

・カーボンファイバー
日常生活で使われているが問題はオスプレイのプロペラが岩礁に高速回転で激しく接触して破壊の中で細塵化し飛散、空気中に浮遊し呼吸すると危険。
また炭素繊維の処理は焼却すると飛散して大気中に浮遊拡散するので焼却処理は出来ない。

・グラスファイバー
実際に破片に触れた人によるとグラスファイバーだったのでしょうか、指に突き刺さる感じだと話しています。
粉々になってその粒子が海底の藻場に沈んだり、ウミクサに混ざってジュゴンが体内に取り込むことが心配されます。
沖縄県立芸術大学の藤田準教授(生物学)がテレビ報道にてガラス繊維による生物の体内に取り込まれた場合の危険性に言及されていますが、
彼は塗料などの危険性については触れられいません。



この中でも特に塗料と共に炭素繊維強化材料の破損片が海底に飛散している事による問題は以下の3点と考えられます。
実際、事故後の米軍による機体の回収作業において白い防護服とマスク姿の作業員が目撃されています。

(1)海中で生物に取り込まれることによる危険性

(2)破片回収を行う人員への危険性

(3)陸揚げ後、関係機関へ引き渡す間の一時保管中の危険性


炭素繊維強化材料を使用した機体の火災対応時に生じる危険性については自衛隊等の軍事部門では周知の事実です。
民間機対象の文書でも、炭素繊維を吸入することによる呼吸系への危険性と皮膚に付着した場合の刺激性について言及されています。



(1)は底生生物が取り込んでしまった後の生態系への影響と、食卓に上る水産物から人体に入り込んでしまう心配が無いかの問題。

(2)は、水中では微細な炭素繊維が肺に吸入される心配は無いと思われますが、破片から露出している繊維が手や身体に刺さる危険性。
水中での取り扱い中に回収物を折ったり割ったりして飛散した繊維が皮膚に付着する、という危険性が考えられます。

(3)は、陸揚げ後に乾燥した回収物を誤って折ったり割ったりした時に飛散する繊維を吸い込んだり皮膚や目に付着する危険性が考えられます。
短期的な影響としてはこれが一番危ないのではないかと考えられます。

~~〜以上

墜落事故一帯の生態系の汚染と住民の安全の側面から沖縄県による「環境安全」発表は、不十分であり不気味な白い防護服とマスクの謎にも答えていません。
当初、心配された放射能による汚染がないとしたら・・・炭素繊維の粒子の飛散についての調査はされたのでしょうか?
この炭素繊維の害については、その因果関係はアスベスト被害と酷似しています。
既にアスベストについては沖縄県では沖縄環境分析センターでサンプリング調査は可能なはずです。


 私たちは沖縄県に対し、再度の環境汚染実態の解明と現地一帯の再調査を求めます。
ましてや危険性のある素材破片の回収、清掃作業を地元住民やボランティア市民にさせる事は許されることではありません。
沖縄県に置かれましては、沖縄防衛局及び、米軍環境部に対し、事故実態の解明と報告、事故機による環境汚染への速やかな回復を要望することを求めます。



  

Posted by 北限のジュゴン調査チーム・ザン at 20:00Comments(0)

2017年02月10日

辺野古・大浦湾海上の危険物を撤去せよ!

沖縄防衛局 中嶋 浩一郎 局長殿
                2017年2月2日
         北限のジュゴン調査チーム・ザン 
        
 私たちは2006年より名護市東海岸に生息するジュゴンの保護調査を行っている市民グループです。

沖縄防衛局による環境アセス調査においても希少なジュゴンの生息域として確認されている辺野古・大浦湾に、「臨時立ち入り制限区域」
を示すためと称して大型フロートが設置されています。現在、そのフロートには金属の棒とそれらをつなぐロープを三重に張り巡らし、さらにネットで覆っています。
ロープを張って2週間もたたない間に、2月の東海岸の波浪や風の影響でロープはすり切れたり、絡まったり、海中に垂れ下がったりしています。
また、広範囲に海を仕切った緑色のネットは漁網と同じ状況であり、海の生物にとっては大変危険な物です。

 沖縄のジュゴンが近年まれにしか確認されなくなった要因のひとつに、漁網による「混獲」があります。
海面に顔を出して息継ぎしなければならないジュゴンやウミガメにとって、どこまでも続くネットや海中に浮遊するロープは命を奪う物になりかねません。

 それだけでなく、海流を妨げる設置物による海洋生態系への悪影響が心配されます。
それは、直接的な影響が予測不可能な多様な生物、例えば海面付近のプランクトンを餌とする魚類や海底に生息する貝類をはじめとする底生生物にも影響が及ぶ可能性があります。
ましてや今後、汚濁防止幕設置による海流の遮断は、それを固定するためのコンクリートブロック投入と共に、複合的な環境撹乱を出現させることは火を見るより明らかです。

 私たちは海洋生態系の保全と絶滅が危惧されるジュゴンの保護の観点から、これらの極めて危険な海上設置物の早急な撤去を強く求めます。



  

Posted by 北限のジュゴン調査チーム・ザン at 23:10Comments(0)

2016年08月02日

2016年 ジュゴン食性調査

 2007年より継続しているジュゴンの食性調査を、今年も7月17日〜8月1日の間に実施しました。


                 記録ボードを片手に海草を調べる調査員

 例年調査は台風の影響でしばしば中断していましたが、今年は沖縄島に接近する台風が無く、お陰で順調に調査が進んだのは良いのですが、台風で海が荒れない分、上昇した海水温が下がらず、サンゴの白化が起き始めていました。


                         白化したミドリイシ類

 ジュゴンの餌場である海草藻場は、台風などによる波浪の影響を受けやすく、私たちがモニタリングする海域では、航空写真などにより1990年ころから海草藻場が縮小して来たことが分かりました。


                      ジュゴンの食み跡を手で辿る

 毎年のように襲来する台風ですが、2014年の夏以降は大きな台風が名護市に接近しておらず、その結果過去に台風で面積を減らした海草藻場が、徐々に回復してきたようです。


              ウミヒルモが優占する藻場にできた長い食み跡

 特に今年はジュゴンが好むと言われているウミヒルモの勢力が盛んでした。



 調査中そんなウミヒルモが優占する藻場で、ジュゴンのものと思われる糞を見つけました。サイズ、量ともかなり立派?です。


                         糞を採取する調査員

 早速、分析を行なっている研究者にサンプルを送り、結果を楽しみに待っているところです。


                ベニアマモが優占する藻場にできた食み跡

 今回も沢山の食み跡が確認できました。


                ウミヒルモが優占する藻場にできた食み跡


                ウミヒルモが優占する藻場にできた食み跡


                白化せず成長を続けるユビエダハマサンゴ



 海水温の上昇が気になりますが、ジュゴンの食卓は健全でした。  (タロウ)  

Posted by 北限のジュゴン調査チーム・ザン at 16:20Comments(1)食み跡

2016年03月29日

「やんばる国立公園(仮称)の指定及び公園計画決定への意見」

「やんばる国立公園(仮称)の指定及び公園計画決定への意見」
意見提出者:北限のジュゴン調査チーム・ザン

意見
 今回のやんばる国立公園の指定内容は不十分であり、指定地域が狭い上に、陸と海の連続性が十分に保障されているとは考えられず、
海生哺乳類の生息海域の保全も全く検討されていません。科学的見地からの生態系の連続性を無視した人間の経済的見地から導き出
された細切れな保護区の設定は歴史的、文化的にも保存されて来たやんばるの固有な生態系の分断と破壊を招くおそれがあり、
生物多様性と文化の多様性を損なうものとして賛同できません。

理由
 私たちは日本国内で唯一生息している沖縄のジュゴンの保護調査に携わる市民グループです。

報道によるとこの夏にも環境省によってやんばる一帯を国立公園に指定するとの事ですが、
この計画内容を見ると「国の天然記念物」であり、環境省絶滅危惧1A類、IUCN(国際自然保護連合)においてもVUランクに指定され、
沖縄における文化的アイコンでもある沖縄のジュゴンの生息地保全についての記載が皆無であることに大きな疑問を持っています。

 周知のように沖縄のジュゴンは世界においても「北限の」(最も北に生息する)極めて希少な海生哺乳類として国際的な注目を集めています。
沖縄のジュゴンの生息個体数は極めて少なく、餌場となる浅海の開発などの原因でまさに絶滅の危機に瀕しています。
そのような現状、および沖縄のジュゴンの存在自体を無視した今回の「国立公園化」に私たちは疑問を持たざるをえません。

 今回の国立公園化は今後の「世界自然遺産(奄美・琉球)」への登録を射程に入れてのことであると聞きます。
そうであるならば、優先すべき目的は、これらの地域に育まれる固有な生態系と生物多様性の保全にあることは異論がないと考えます。
当計画の指定理由の中にも生物多様性と共に「絶滅のおそれのある重要な野生生物が集中して分布する特徴的な生態系が形成されている」ことや
「当該地域を北限とする種が多い」と記載されています。またこの地域は、「琉球列島の形成過程を反映して形成された島々の地史を背景に多く
の固有種が集中して分布する国内最大規模の亜熱帯照葉樹林の生態系を中心として、高湿度の山地 に発達する雲霧林、渓流植物群落などの河川生態系、
石灰岩地特有の動植物、マングローブ生態系 といった多様な生態系が複合的に一体となった景観を風景形式とした、我が国を代表する傑出した 地域で
ある」と評価しています。

 そもそも、沖縄・やんばるの島嶼生態系は、森(山)・川・海(サンゴ礁生態 系)を繋ぐ一つの循環によって成り立っており、陸域・海域を一体の
ものとして 保全することなくして、その保全はありえません。私たちの調査によれば、ジュゴンが生息するための餌場(海草藻場)は陸域と海をつな
ぐ地下水脈の健全さの指標として極めて重要です。また、やんばる地域でもすでに海と陸をつなぐ緩衝帯としての砂浜の人工化が目立ち、かつては普通
種だった種の多くが「絶滅危惧種」となるなど多くの生物相が危機的な状況になっています。
その現実を踏まえずして安易な「公園化」により新たな人工物が増築されることや「利活用」は極め危険です。

 はたして海域の生物においてはウミガメのみが辛うじて記載され、海生哺乳類においては唯一季節限定に来遊するザトウクジラに言及されているだけです。
人文景観の項目おいても触れられている、やんばる地域に伝えられている多くの祭祀(集落の邪気を 払い豊作・豊漁を祈願するシヌグや海神祭)は海と山と人
の暮らしを一体のものであることを表しており、海域の生態系と切り離しては語ることは出来ません。文化的な側面においても極めて歪な内容と言わざるをえません。

 現在、沖縄県におても「絶滅の危機に瀕する沖縄のジュゴンの保全に向けての調査」が始まろうとしています。
沖縄に残る生物多様性や文化の保全と活用は、それらの歴史を踏まえた持続可能な計画でなければ、いっきに損なわれるおそれがあります。

 沖縄のジュゴンの保護および生息海域一帯の保全はやんばるの将来における生物多様性の保全の要であり、そこを欠如させた今計画は、本来の「国立公園」
としての目的である「近年、照葉樹林については、様々な野生動植物が生息・生育し、その雰囲気が感じられる豊かな 生態系を有するすぐれた自然の風景地
として、また、沖縄島北部地域について は、我が国を代表する傑出した地域として」評価するには極めて不十分です。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜以上

  

Posted by 北限のジュゴン調査チーム・ザン at 11:59Comments(0)

2015年12月19日

日本自然保護協会 日本自然保護大賞 選考委員特別賞に選ばれました!


公益財団法人日本自然保護協会(理事長 亀山 章、会員2万7000人)は、「平成27年度 日本自然保護大賞」の授賞者を発表しました。IUCN(国際自然保護連合)親善大使でシンガーソング ライターのイルカさんをはじめ、日本の自然保護をリードするさまざまな分野の選考委員が、全国から集まった126件の応募(9月末締切)から8つの活動を選出。日本に誇るべき自然保護と生物多様性保全に貢献する取り組みを決定しました。

私たち 北限のジュゴン調査チーム・ザン は日本自然保護大賞 選考委員特別賞に選ばれました!

日本自然保護大賞
http://award.nacsj.or.jp/

泡瀬干潟守る会、チーム・ザン 自然保護大賞
http://ryukyushimpo.jp/news/entry-191238.html

2016年2月7日(日)13時~16時
日比谷コンベンションホール(千代田区日比谷公園1-4)
にて、受賞記念シンポジウムがあります。
お近くの方は、ぜひいらしてください。

  

Posted by 北限のジュゴン調査チーム・ザン at 20:29Comments(0)

2015年08月31日

釣り人の置き土産



今回の調査中に見つけたソフトルアーです。周りにはジュゴンの食み跡もありました。釣りの最中に海中の何かに釣り針を引っ掻け、そのままちぎれたものだと思われます。テグスも30cmほど残っていました。
こんなに小さなモノなど気にとめる必要もないと思われがちですが、過去に沖縄では誤飲したテグスが原因で死んだジュゴンがいます。1988年宜野座村に漂着した死んだジュゴンを海洋博記念公園水族館が解剖したところ、腸の中からテグスの固まりが見つかりました。ジュゴンが間違えて飲み込んだテグスが原因で腸がちぎれ、ジュゴンが死んだと考えられています。
私たちのちょっとした不注意が、野生動物の命を奪ったという事例ですが、環境問題に敏感な私たちでさえ、加害者になる危険性があることを教えてくれている事例でもあります。 (タロウ)
  

Posted by 北限のジュゴン調査チーム・ザン at 10:01Comments(0)調査

2015年08月19日

2015年 ジュゴン食性調査

毎年恒例となったジュゴン食性調査を今年も7月27日から行なっています。
ブログでの報告は調査終了後と考えていましたが、今年も台風で中断を余儀なくされ、未だ終了していませんので、途中ではありますがここに報告します。



この調査の目的は、ジュゴンの採餌場の状態とその利用状況(食み跡)を毎年記録し、異変がないか海域を監視するとともに、得られたデータを藻場の保全に活かすことです。なお同じエリアで実施された護岸工事では、事業者である沖縄県に調査データを提供し、事業がジュゴンへ影響を及ぼさないよう、話し合いを重ねてきました。



調査員はチームのメンバーとジュゴン保護に関心を持つ一般市民。



調査は素潜りで行なうので、参加者は素潜りのスキルが必要になります。



ダイビングクラブで活動されている県内の学生さんも参加しています。



勿論チームの長老?も健在です。



調査を続けていると、毎年同じ場所でジュゴンの食み跡が見つかることがしばしばあります。小さ藻場ですが、この場所でも毎年食み跡を確認しています。サンゴ礫が混じり地下茎が食べにくいのではと思うのですが、この場所にはジュゴンを引きつける何かがあるようです。



先日の調査ではあたりはスクだらけでした。
スクは旧暦の暦通りに姿を見せたようです。



調査中ウミヘビが姿を見せることもあります。
これはクロガシラウミヘビ。
コブラ毒がありますが、ついつい追いかけてしまいます。



あたり一面おびただしい数の食み跡。
この食み跡群を見つけたときは感動しました。
優占種はベニアマモですが、底質が砂なのでジュゴンは4〜5cmほどの立派な溝を掘りながら海草を食べていました。
(尚この写真は調査とは別の日に撮影したものです。)



今年は昨年確認できなかったエリアでも食み跡を確認しています。



現在台風が二つ発生しており、その内の台風15号が接近中で、しばらくは調査が出来そうもありません。



台風によるジュゴンの餌場への被害も気になりますが、台風による環境の撹乱が生物の多様性を育んでいるともいえるので、ここは静かに通り過ぎるのを待ちたいと思います。



まだ集計はしていませんが、今年も例年通り沢山の食み跡を確認し、ジュゴンの健康状態に安堵しているところです。 (タロウ)













  

Posted by 北限のジュゴン調査チーム・ザン at 17:38Comments(0)調査

2015年05月11日

トゲウミヒルモ

今回の深場に生えていたトゲウミヒルモは、浅場に生えるウミヒルモ・オオウミヒルモとは少し違います。

ウミヒルモより縦に長く、表面がざらざらしています。

日本海草図譜によると、トゲウミヒルモの生態は
・水深15〜18mの珊瑚砂の海底にはえる。
・沖縄では2〜3月に植物体が現れ、5〜7月に開花結実し、9〜11に枯れるという。
・オーストラリアと大西洋西部でもこのような一年生のものが観察されているが、
 ほかの地域では多年生であるらしい。
とあります。

19m,20mほどの水深にあり、冬場は見られないことも、特徴にあっています。



少し拡大すると
葉の根元からのびている雌しべ・雄しべが見られます。
2の裏返った形に曲がってしまっているのが、雌しべで3本くっついています。
その下のまゆ型のが、雄しべです。



別の葉の表面を拡大した写真です。
トゲの名前の由来になっている突起がみられます。
ただ葉っぱの大きさが1~2cmなので、水中ではこの突起までは見えません。
葉の形で判断しています。




食み跡のないところではこんな感じで、トゲウミヒルモは生えています。

  

Posted by 北限のジュゴン調査チーム・ザン at 07:09Comments(2)調査

2015年05月09日

5月9日大浦湾食み跡調査

本日5月9日、4月15日に調査した大浦湾チリビシ沖のジュゴンの食み跡を調査してきました。

4月15日に比べると鮮明な物は少なく、
最近食べたと思われる食み跡は8本ありました。
台風6号と前線の影響で少し波は高かったのですが、なんとか調査できました。
水深19m、水温22℃でした。



長さを測っている様子。
黒い棒の長さは1m。
全体での長さは2~8.5mでした。



幅を測っている様子
ここでは幅10cm、深さ1cmでした。
全体では幅10~15cmでした



そのほかに以下のような不鮮明な古い食み跡も20本ほどありました。
4月15日には食べたてだった食み跡だと思われます。

  

Posted by 北限のジュゴン調査チーム・ザン at 19:03Comments(0)食み跡調査

2015年04月21日

食み跡に線を引いてみました

先日載せた写真がわかりやすいよう、食み跡に線を引いてみました。
写真の上にマウスを持って行くと、食み跡がオレンジの線で示されます。
写真中心辺りは何本もの食み跡が重なっているため、これが正しいのがどうかはわかりません。
少なくともこの写真だけで5本の食み跡が見られます。


こちらもマウスで線が出るようにしました。




調査の様子
真横にのびる食み跡の幅は8~10cmほどです。



10.5mの食み跡を測っている所





写真下に写っている真っ直ぐな白いラインは、食み跡のあるエリアの中央に置いた50mの巻き尺です。

  

Posted by 北限のジュゴン調査チーム・ザン at 18:11Comments(0)食み跡調査

2015年04月15日

大浦湾チリビシ・アオサンゴ群落沖で多数の食み跡




昨日14日、大浦湾チリビシ・アオサンゴ群落沖で多数のジュゴンの食み跡が見つけられました。
今日15日、ダイビングチーム・レインボー、ジュゴンネットワーク沖縄、北限のジュゴン調査チーム・ザン の合同で調査をしてきました。
食み跡の本数は多すぎて数えられないほどですが、数えた範囲では35本以上見つかりました。
2013年3月にも食み跡が見つかっている場所で、継続してエサを食べに来ていると考えられます。
ここに生えていたトゲウミヒルモは冬場は枯れてしまいます。
春の新芽が出た3月・4月の時期に食べに来ているのも納得できます。
海上保安庁・沖縄防衛局の船が頻繁に航行している場所で、衝突の危険がないか心配です。

調査日 2015年4月15日 10時前後
食み跡の本数 35本以上
水深 19.7m
トゲウミヒルモ群生地
リュウキュウズタがまばらにあり
不鮮明な古い食み跡と、一週間以内に食べたと思われる新しい食み跡が、混じって見られた。

計測1 長さ1.9m 幅10~14cm
計測2 長さ6.0m 幅10~15cm 深さ5~12mm
計測3 長さ10.5m 幅8~15cm 深さ10~20mm
撮影したムービーを見ると、20m近い長さの食み跡もありそうです。

明日の新聞には掲載されると思います。
QABではすでに放送されています。  

Posted by 北限のジュゴン調査チーム・ザン at 21:49Comments(0)食み跡調査

2015年03月05日

3月7日ジュゴン・シンポジウムのお知らせ



【シンポジウム:ジュゴンってどんな生き物?】
 ジュゴンの研究者である向井宏先生が、ジュ
ゴンがどのような動物か、世界のどこに棲んで
いるのか、沖縄のジュゴンの位置づけなど、
お話しします。沖縄の人たちにとってジュゴン
は、一緒に暮らしてきた文化として大切な動物
でもあります。
 世界のジュゴンのなかで、沖縄にいるジュゴ
ンがどのような意味や価値を持つのか学び、ジ
ュゴンと彼らを支える沖縄のサンゴ礁を守るこ
とについて一緒に考えて
みませんか? どなたもお気軽にご参加ください。


13:00   開会の挨拶
13:05~13:45 世界のジュゴンは今
(向井宏:海の生き物を守る会代表)
13:45~14:15 ジュゴンと人との関わり
(吉川秀樹:沖縄・生物多様性市民ネットワーク)
15分休憩

14:30-15:00 嘉陽におけるジュゴンの食み跡調査
(細川太郎:北限のジュゴン調査チーム・ザン)
15:00-15:40 辺野古・大浦湾のジュゴンの利用に
ついて~辺野古・大浦湾におけるジュゴンの食み
跡調査を中心に~(安部真理子:日本自然保護協会)
15分休憩

15:55-17:00 パネルディスカッション
17:00  おわりに

参加費:無料、申し込み不要

主催  日本自然保護協会
共催  北限のジュゴン調査チーム・ザン
後援  沖縄・生物多様性市民ネットワーク、
    海の生き物を守る会
    沖縄県サンゴ礁保全推進協議会

  

Posted by 北限のジュゴン調査チーム・ザン at 23:24Comments(0)

2015年02月28日

ワークショップのお知らせ

先にお知らせしたジュゴンのシンポジウムの翌日に成りますが、
関連した企画として「北限のジュゴン」個体Aがよく餌場として
活用している海域のワークショップを開催します。
是非ともご参加下さい。





  

Posted by 北限のジュゴン調査チーム・ザン at 11:16Comments(0)

2014年12月11日

12月13日(土)イベントのお知らせ







第1回 ワイルドライフ メモリー ディ 
   沖縄のジュゴンといのちに感謝する集い
 
12月13日(土)18:00〜20:00から名護市瀬嵩東浜
(オーストラリア・モートンベイ市で同じ時間にイベントを開催)
☆19:30にキャンドル点火、ジュゴンの姿を浮かび上がらせます!

沖縄本島には世界で一番北にすむ「北限のジュゴン」が生きています。
世界の一番南の海にすむ「南限のジュゴン」から熱いラブコール!
「世界にはジュゴンやウミガメなど、人間活動によって苦難を強いら
れている多くの野生のいきものたちがいることを忘れないためにいの
ちに感謝する記念日」にしよう!

主催:じゅごんの里・北限のジュゴンを見守る会・二見以北十区の会
問い合わせ:じゅごんの里 0980−55−8587



  

Posted by 北限のジュゴン調査チーム・ザン at 00:23Comments(0)
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